AWS認定 クラウドプラクティショナー(CLF-C02)のドメイン1(24%)には、クラウドを使うとなぜコストを抑えられるのかという「クラウドの経済学」が含まれます。試験では固定費と変動費のちがい・TCO(総保有コスト)・ライトサイジング・ライセンス戦略・自動化・マネージドサービスといったキーワードが問われます。むずかしそうに見えますが、要は「先に大きく払うか/使った分だけ払うか」と「ムダをどう減らすか」の話です。初めての方でも図でイメージできるように解説します。全体マップは シラバスマップ、試験概要は CLF対策トップ へ。

固定費と変動費のちがい(CapExからOpExへ)
自社でサーバーを買って運用するオンプレミスは、使う前に機器やソフトを大量に購入する必要があります。これが固定費(先に大きく払う初期投資)です。会計では設備投資(CapEx)と呼ばれます。
一方クラウドは、使った分だけ後から支払う変動費。必要なときに必要なだけ借りて、使わなくなったら止めればその分は払いません。これは経費(OpEx)にあたります。試験では「クラウドは大きな初期投資(固定費)を、使った分だけの変動費に置き換える」という考え方(CapExからOpExへ)がよく問われます。
需要が読みにくい新規事業でも、最初に大金を投じずに小さく始められ、伸びたら増やし、いらなくなれば減らせます。使わない設備を抱え込むムダ(過剰投資)や、足りなくて機会損失になるリスク(過小投資)を避けられるのが利点です。なお、オンデマンド・リザーブドインスタンス・Savings Plansといった具体的な料金モデルの違いは、別記事「料金モデル」で詳しく扱います。
オンプレの「見えないコスト」をTCOで考える
「自社サーバーのほうが安いのでは?」と感じることがあります。しかし機器の購入代金はコストの氷山の一角にすぎません。実際には電気代・設置スペース(データセンター)・冷却・保守・運用する人の人件費など、見えにくいコストが大量にかかります。
これらをすべて足し合わせたTCO(総保有コスト=Total Cost of Ownership)で比べるのが正しい考え方です。オンプレとクラウドを比較するときは、買った値段だけでなく、持ち続ける間にかかる費用の合計で判断します。クラウドは見えないコストの多くをAWS側が引き受けるため、TCOで見ると有利になりやすいのです。

| コストの種類 | オンプレミス | クラウド(AWS) |
|---|---|---|
| 初期投資 | 機器・ソフトを先に大量購入(固定費) | ほぼ不要(使った分だけの変動費) |
| 電気・場所・冷却 | 自社で負担・見えにくい | 利用料に含まれAWSが負担 |
| 保守・運用の人手 | 人件費が継続的にかかる | 多くをAWSに任せられる |
| 拡張・縮小 | 増設は購入と工事が必要 | 数分で増減、使わなければ止める |
ライトサイジング(適切なサイズ選び)でムダを減らす
クラウドにしても、大きすぎるサイズを選んでいたらムダが出ます。CPUやメモリをほとんど使っていない大型インスタンスを動かし続けるのは、ガラガラの大型バスを走らせるようなもの。そこで、実際の使用状況に合わせて最適なサイズ・タイプに調整するのがライトサイジング(rightsizing)です。
使用率のデータを見て「もっと小さいタイプで足りる」ものは縮小し、足りないものは増やす。これを続けることで、性能を保ちながら払いすぎ(オーバープロビジョニング)を減らせます。CLFでは「クラウドのコスト最適化=適切なサイズを選ぶ」という発想を押さえておきましょう。

ライセンス戦略:BYOL とライセンス込み
ソフトウェアのライセンス費用も、クラウドのコストを考えるうえで大事なポイントです。AWSには大きく2つの持ち方があります。
- BYOL(Bring Your Own License=ライセンス持ち込み):すでに購入済みのソフトウェアライセンスをAWS上に持ち込んで使う方法。手持ちの資産をムダにせず活かせます。
- ライセンス込み(License Included):AWSの利用料金にソフトのライセンス費用が含まれている方法。新たにライセンスを買わずに、使った分だけ支払えます。
「すでにライセンスを持っているならBYOLで活用」「これから使い始める・短期間だけならライセンス込みで手軽に」——このように状況に応じて安いほうを選ぶのがライセンス戦略です。
自動化でコストを下げる(CloudFormation)
手作業でサーバーを1台ずつ設定していると、時間(=人件費)がかかり、設定ミスも起きます。AWSでは構成をコードとして書いておき、自動でまとめて構築・変更できるAWS CloudFormationという仕組みがあります(インフラをコードで管理する=IaC)。
同じ環境を何度でも正確に・すばやく再現でき、いらなくなったらまとめて削除して課金を止められます。作業の自動化は運用の手間とミスを減らし、結果としてコスト削減につながる——これがCLFで問われる「自動化の利点」です。
マネージドサービスで運用コストを下げる
コスト削減のもう一つの王道がマネージドサービスを選ぶことです。マネージドサービスとは、バックアップ・パッチ適用・障害対応・スケーリングといった面倒な運用をAWSが代わりに引き受けてくれるサービス。自分で管理する範囲が減るぶん、運用にかかる人手(人件費)を大きく減らせます。
CLFで代表例として押さえるべきマネージドサービスは次のとおりです。
- Amazon RDS:マネージドなリレーショナルデータベース(詳しくは データベースの記事)
- Amazon ECS / Amazon EKS:マネージドなコンテナ実行環境(詳しくは コンピューティングの記事)
- Amazon DynamoDB:フルマネージドなNoSQLデータベース
「自分で運用する範囲が小さいサービスほど、運用コストを下げられる」というのが基本の考え方。特別な理由がなければ、CLFではマネージドサービスを選ぶのが正解になりやすいと覚えておきましょう。
確認クイズ
Q1. クラウドがコスト面で有利とされる理由として、最も適切なものはどれですか?
Q2. オンプレミスとクラウドのコストをTCO(総保有コスト)で比べるとき、見落としてはいけないコストはどれですか?
Q3. CPU使用率が10%ほどしかない大きすぎるインスタンスを動かし続けています。コスト最適化として適切なのは?
Q4. データベースの運用の手間(人件費)をできるだけ減らしたい。CLFの考え方として適切なのは?
よくある質問(FAQ)
Q. BYOLとライセンス込み(License Included)はどう使い分ける?
A. すでにソフトのライセンスを持っているなら、それをAWSに持ち込むBYOLでムダなく活用できます。これから使い始める・短期間だけなら、利用料にライセンス費用が含まれるライセンス込みのほうが手軽です。手持ち資産の有無と使う期間で、安くなるほうを選びます。
Q. CloudFormationはなぜコスト削減につながるの?
A. 構成をコードとして書いておけば、環境の構築・変更・削除を自動でまとめて実行できます。手作業の時間(人件費)とミスが減り、使わない環境はまとめて削除して課金を止められるため、結果的にコストを抑えられます。これが「自動化の利点」です。
Q. クラウドにすれば必ず安くなりますか?
A. 必ずではありません。大きすぎるサイズを使い続けたり、止め忘れたりすればムダが出ます。ライトサイジングで適切なサイズを選ぶ・使わないものは止める・マネージドで運用を減らすといった工夫をしてこそ、クラウドのコストメリットが活きます。判断は購入代金でなくTCOで行いましょう。
まとめ
- クラウドは固定費(先払いの初期投資)を、使った分だけの変動費に置き換えられる(CapExからOpExへ)
- オンプレとの比較はTCO(総保有コスト)で。電気・場所・保守・人件費まで含めて考える
- ライトサイジングで適切なサイズを選び、払いすぎを減らす
- BYOL/ライセンス込みを状況で使い分け、自動化(CloudFormation)とマネージドサービス(RDS/ECS/EKS/DynamoDB)で運用コストを下げる
※本記事はAWS公式試験ガイド(CLF-C02)および各サービスの公開ドキュメントに基づき、エンジニアKが作成しています。サービス仕様は更新されることがあるため、最新は必ずAWS公式でご確認ください。本サイトはAmazon Web Services, Inc.の公式サイトではありません。AWSは同社の商標です。



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