AIP-C01の分野2で軸になるのがエージェンティックAI(agentic AI)の実装です。試験ガイドには Strands Agents・AWS Agent Squad・MCP(Model Context Protocol)・Amazon Bedrock AgentCore と、2025〜2026年に登場したばかりの技術が並びます。この記事では、これらを「フレームワーク層/プロトコル層/実行基盤層」の3層スタックとして整理し、試験で問われる設計判断(どこに何を使うか)まで解説します。試験の全体像は AIP-C01受験ガイド、エージェントの基礎概念は AIエージェントとBedrock Agents【AIF-C01】 をどうぞ。

エージェンティックAIとは?(30秒でおさらい)
エージェンティックAIは、基盤モデル(FM)を頭脳として「推論→ツール実行→結果の観察→次の行動」を自律的に繰り返すシステムです。単発の質問応答と違い、①複数ステップのタスクを自分で分解する、②外部ツール(API・DB・検索)を呼び出す、③会話や作業のメモリ(ステート)を維持する、の3点が特徴です。この推論と行動のループはReActパターンと呼ばれ、AWSでは複雑なワークフローをAWS Step Functionsでオーケストレーションして実装できます(試験ガイド スキル2.1.2)。
① フレームワーク層:Strands Agents と AWS Agent Squad
エージェントのロジックを書く層です。試験ガイドが名指しする2つはどちらもAWS発のオープンソースです。
| フレームワーク | 得意なこと | 試験での問われ方 |
|---|---|---|
| Strands Agents | モデル駆動のエージェントSDK。モデル・システムプロンプト・ツールを宣言するだけで、計画や再試行の細かい制御はFMの推論に任せる。ツールのカスタム挙動(エラー処理・パラメータ検証)もStrands APIで実装(スキル2.1.6) | 単一エージェントの実装・ツール統合・メモリ管理の文脈で登場 |
| AWS Agent Squad | マルチエージェントのオーケストレーション。問い合わせを分類して適切な特化エージェントへルーティングし、会話コンテキストも維持する | 「複数の特化エージェントを協調させる」要件で登場(スキル2.1.1) |
関連して、複数モデルの使い分けも同じタスクの論点です。複雑な推論は高性能FM、定型処理は小型FMに振るモデル選択フレームワークや、複数モデルの出力をカスタム集計ロジックで束ねるモデルアンサンブルが挙げられています(スキル2.1.4)。「1つの巨大モデルで全部やる」ではなく、機能ごとに最適なモデルへルーティングするのがProfessional級の設計です。
② プロトコル層:MCP(Model Context Protocol)
MCPは、FM・エージェントと外部ツールを接続するためのオープンな共通規格です。ツールごとにバラバラの統合コードを書く代わりに、ツール側を「MCPサーバー」、エージェント側を「MCPクライアント」として標準化されたアクセスパターンで接続します。試験ガイド(スキル2.1.7)はホスティングの使い分けを明示しています。
- 軽量・ステートレスなツールアクセス → AWS Lambda上のステートレスMCPサーバー(低頻度・短時間の処理に最適。サーバーレスでコスト効率◎)
- 複雑・常駐型のツール → Amazon ECS上のMCPサーバー(長時間処理・状態保持・高頻度アクセスに対応)
- 一貫したアクセスパターン → MCPクライアントライブラリで吸収(エージェント側のコードはツールの実装を知らなくてよい)
この「Lambda=軽量ステートレス/ECS=複雑常駐」の対比は、そのまま選択肢の作り方になる典型論点です。
③ 実行基盤層:Amazon Bedrock AgentCore
Amazon Bedrock AgentCoreは、エージェントを本番環境で安全に大規模運用するためのプラットフォームです。重要なのはフレームワーク非依存であること——Strands AgentsはもちろんCrewAI・LangGraph・LlamaIndexなどのOSSフレームワーク、Bedrock内外の任意のFMと組み合わせられます。主要サービスを押さえましょう。
| AgentCoreのサービス | 役割 |
|---|---|
| Runtime | エージェント専用のサーバーレス実行環境。セッション分離・高速コールドスタート・非同期の長時間実行に対応 |
| Memory | 短期(マルチターン会話)と長期(セッションを越えて永続)のメモリ管理。複数エージェント間でメモリストアを共有可能 |
| Gateway | 既存のAPI・Lambda関数をMCP互換ツールに変換して公開。既存資産をエージェントの手足にする入口 |
| Identity | エージェントの認証・アクセス管理。Amazon CognitoやOkta等の既存IdPと連携 |
| Code Interpreter / Browser | 隔離サンドボックスでのコード実行/マネージドなブラウザ操作をエージェントに提供する組み込みツール |
| Observability | エージェントの実行パスをトレース・デバッグ・監視。OpenTelemetry互換 |
※構成は公式ドキュメント(2026年7月10日閲覧)に基づきます。AgentCoreは機能追加が速いサービスのため、細部は最新のデベロッパーガイドで確認してください。
暴走させない:ガードされたAIワークフロー
自律的に動くエージェントには「止める仕組み」が必須です。試験ガイド(スキル2.1.3)は4点セットを挙げています。
- 停止条件——Step Functionsのワークフローに最大反復回数や終了条件を実装し、無限ループを防ぐ
- タイムアウト——Lambda関数のタイムアウトで1ステップの実行時間に上限を設ける
- リソース境界——IAMポリシーでエージェントが触れるリソースを最小権限に制限する
- 回路ブレーカー(サーキットブレーカー)——連続失敗を検知したら呼び出しを遮断し、障害の連鎖を防ぐ
もう1つの安全装置が人間参加型(Human-in-the-Loop)です。重要な操作の前にStep Functionsでレビュー・承認プロセスを挟み、API Gateway経由でフィードバックを収集してエージェントを改善します(スキル2.1.5)。「全自動」ではなく「人間の専門知識でFMを増強する」設計が問われます。
確認クイズ(本番形式・3問)
Q1. 社内に多数の既存REST APIとLambda関数がある。これらを書き換えずにMCP互換ツールとしてエージェントから利用できるようにするAgentCoreのサービスはどれか?
Q2. 自律エージェントが検索ツールを延々と呼び続け、コストが急増する事象が発生した。再発防止として最も適切な組み合わせはどれか?
Q3. 経理・人事・ITサポートの3つの特化エージェントを用意し、従業員の問い合わせを内容に応じて適切なエージェントに振り分けたい。この要件に最も直接的に応えるAWS発のOSSはどれか?
よくある質問(FAQ)
Q. Bedrock Agents(既存機能)とAgentCoreは何が違うのですか?
A. Bedrock AgentsはBedrockに組み込まれたマネージドなエージェント構築機能で、AIF-C01でも登場する基礎です。一方AgentCoreは、任意のフレームワーク・任意のFMで作ったエージェントを本番運用するためのプラットフォーム(実行環境・メモリ・ツール接続・認証・監視)です。AIP-C01では後者の役割分担が問われます。
Q. Strands AgentsやMCPはコードを書けないと解けませんか?
A. コーディング問題は出ません(択一・複数選択のみ)。問われるのは「どの要件にどの技術を選ぶか」という設計判断です。本記事の3層の役割分担と使い分け(Lambda vs ECS、Strands vs Agent Squadなど)を押さえれば対応できます。
Q. LangGraphなどAWS以外のフレームワークを使っていても大丈夫?
A. はい。AgentCoreはCrewAI・LangGraph・LlamaIndexなどのOSSフレームワークと組み合わせて使えるフレームワーク非依存の設計です。試験でも「OSSの柔軟性とエンタープライズの安全性を両立する」文脈でこの特性が活きます。
まとめ
- エージェント実装は3層で整理:ロジック=Strands Agents/Agent Squad、ツール接続=MCP、本番運用=Bedrock AgentCore
- MCPサーバーは軽量ステートレス→Lambda/複雑・常駐→ECSの使い分けが頻出
- 自律エージェントには停止条件・タイムアウト・IAM境界・回路ブレーカー+人間参加型のガードを必ず設計する
- AgentCoreはRuntime・Memory・Gateway・Identity・Observabilityの役割を区別して覚える
出典:AWS公式試験ガイド(AIP-C01)Task 2.1/Amazon Bedrock AgentCore デベロッパーガイド(2026年7月10日閲覧)。



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